私の好きな監督、
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の新作、レッド・バルーンは
アルベール・ラモリスの映画、「赤い風船」へのオマージュです。
旅をし続ける赤い風船は
時空を越えて現代のパリへ。
風船はやさしい眼差しで
人々の生活を見守り続ける。
光と影、日常の音
ゆっくりと流れる時間を
ホウ監督のフィルターを通して
瑞々しく感じることができる作品。
それはまるで小津監督へ捧げられた
「珈琲時光」で受けた感動にも似て。
私はホウ監督が美しいと思うものを
同じように美しいと思えるのではないかと
今まで観た映画を思い起こしながら
今回の映画でさらに確信できたように思う。
真っ赤な風船はさらに旅を続ける。
ホウ・シャオシェンのレッド・バルーンを観た次の世代は
この美しい世界をどう表現して行くのだろう。
芸術は人の心の中に生き続け
また、その芸術の中に生き続ける。
そんな作品がつくれるなんて
本当に素敵だと思う。